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開校理由

寿司の修行、その問題点とは──元消防士が1年で独立して気づいたこと

公開:2026年6月9日

「そもそも、お前は誰なんだ」「どんな実績があるんだ」──そう思われるのは、当然だと思います。

だからこの記事では、まず私自身のことを正直にお話しさせてください。元消防士から寿司職人に転職し、修行期間わずか1年1ヶ月で独立して、地元・静岡で店を構えるまでの道のり。そして、その過程で痛感した「寿司の修行」が抱える構造的な問題点について書いていきます。

寿司職人がノウハウをオープンに発信するのは、業界ではほとんど例がありません。正直、メリットよりデメリットの方が大きい。それでも書くのは、「過酷な下積みだけが唯一の正解ではない」ということを、一歩を踏み出せずにいる人に知ってほしいからです。

消防士から、寿司職人へ

学生時代は野球に明け暮れ、根っからの体育会系。高校卒業後は消防士になり、3年9ヶ月勤めました。安定した仕事です。それでも夢が諦めきれず、料理が特別得意だったわけでもないのに、まったくの畑違いである寿司の世界へ飛び込みました。

最初に働いたのは、地元の高級寿司店。けれどそこでできるのは雑用ばかりで、「このままでは一生、寿司を握るチャンスは回ってこない」と早々に悟りました。短期間で技術を身につけ、独立したい。その目標とは、明らかに進む道が違ったのです。

そこで私は、考え方を大きく変えることにしました。

お金で「時間」を買った、寿司の学校

選んだのは、寿司職人の基礎を3ヶ月で叩き込む専門学校でした。入学金130万円、諸経費も含めると3ヶ月でおよそ200万円。お金を払って、修行期間を短縮するという決断です。転職してきた以上、悠長に何年もかけている余裕はありませんでした。

ただ、想像していた学校とはまるで違いました。教えるのは本物の寿司職人で、かなりのスパルタ。入学時に20人いた同期は、気づけばほとんどが脱落し、卒業できたのはたった8人。入学金を払ってなお、辞めたくなる厳しさでした。

それでも、ここを出れば「基礎はできている」と見なされます。教える手間が省けるぶん、いろいろな飲食店から声がかかるようになりました。

ミシュラン掲載店で学んだ、本当に大事なこと

次に身を置いたのは、ミシュランガイドに掲載される寿司店でした。この店の面白いところは、大将が「次世代の職人を育てたい」という考えの持ち主で、見込みがあれば若手でもつけ場(カウンター)で握らせてくれること。私は入社からわずか2週間で、握り始めました。

カウンターの手元がすべて見える、いわゆる吹き抜け式の店。静岡から出てきた若者が、文化の違う大阪のお客様に握る。それは厳しい戦いでした。覚えが悪く、当初は劣等生。今でもフラッシュバックするほど、何度も厳しい言葉を浴びました。

ここで学んだのは、料理そのものではなく「現場力」です。美味しいのは当たり前。その上で、内装、大将の雰囲気、接客、原価率──挙げればきりがありません。そして何より大きな気づきがありました。

お客様に感動してもらうことが一番大切で、料理はそのための一つの武器にすぎない。

不思議なことが起きました。料理の腕は店で一番下手なのに、売上は私が一番だったのです。時間ごとに握り手が変わる店で、「青島くんに握ってほしい」と多くのお客様から指名をいただきました。このとき確信しました──本当に大事なのは、人間力なのだと。

料理は、不器用でも続ければ必ず上達します。そこにあるのは、成長が速いか遅いかの差だけ。仕込みは1年で余裕を持って覚えられ、接客のノウハウにも自信がついた頃、独立を決めました。

地元・静岡で独立。開業以来、ずっと黒字

店を辞めるとき、東京・神奈川・大阪から「店長として握ってほしい」と好条件の誘いが相次ぎました。給料も申し分ない。それでも私が選んだのは、地元・静岡で自分の店を持つことでした。

親しい友人も家族もいて、食材にも恵まれたこの土地で商売をすることが、故郷への恩返しになると思ったのです。半年の準備期間を経て、24歳で開業しました。

そして、これはかなり珍しいことなのですが、開業以来ずっと黒字。今では5年連続の黒字経営になりました。口コミでお客様がつながり、固定客も増え、今では客単価3万円を超える店になっています。

僕が直面した「修行の問題点」

実際に修行を経験して、はっきりわかったことがあります。修行には良い面もある。けれど、見過ごせない問題点があまりにも多いのです。

  • 閉鎖的な世界で、人間関係に潰されやすい。 たとえ大将が人格者でも、その下につく先輩の性格次第で、心が折れてしまう。
  • 技術を学びたいのに、雑用が中心。 成果が出るまでに、何年もかかってしまう。
  • 労働12時間超が当たり前。 毎日をこなすだけで精一杯で、学ぶ余力が残らない。

私自身、修行時代に苦しくて辞めていった同僚や、うつ病になった後輩を救えませんでした。希望を持って入ったはずなのに、過酷な労働と精神的な負荷で立ち上がれなくなる。そんな光景を、何度も見てきました。

そして、修行の一番の問題点はここにあります。

どれだけ修行を積んでも、寿司職人として成功できるかどうかは、開業してみないとわからない。

雇われとして下積みを重ねる力と、自分の店を経営する力は、まったくの別物です。接客が苦手なら向いていないし、健康を崩せばそこで終わってしまう。10年下積みをして、いざ開業して向いていなかったら、どうするのか。美味しい寿司を出せばお客様が来てくれる、というほど甘い世界ではありません。

10年修行しても、開業して成功する確率は3割ほど──そう言われています。けれど裏を返せば、寿司以外のことも大事だと考えて学び続ければ、その確率はどんどん上がっていく。寿司職人の成功は、技術だけでなく「総合力」の勝負なのです。だからこそ、そこに気づいていない人が多い今は、大きなチャンスでもあります。

だから、寿司の学校を作ることにしました

修行時代、「目で見て盗め」と言われ続けました。けれど私は、この考え方に反対です。怒られないようにその場をしのぐ練習では、技術は身につきません。事実、私自身もこのやり方でずいぶん遠回りをしました。

だからこそ、何度でも復習できる動画で技術を伝え、ミシュラン店や自分の店のレシピ、開業までのロードマップ、そして今の時代に欠かせないSNSでの集客まで──そのすべてを一つの場所で学べるようにしたいと考えました。

私は決して、もともと優秀だったわけではありません。公務員時代も修行時代も、ごく平凡な人間でした。そんな僕でも成功できたからこそ、この仕事は本当におすすめできるのです。

寿司に興味がある人、飲食で挑戦したい人、一歩を踏み出したいのに踏み出せずにいる人。そんなあなたの背中を、押したいと思っています。